あばん・ぎゃるど | ||
XMのパワステラックからのLHM漏れ対策 | ||
XMの三大トラブルのひとつ、パワステラックからのLHM漏れは、従来はアッシー交換しかないとされてきました。これに光明を与える方法が、編み出されましたので、試してみることにしました。 この方法の原理は「さかなやさん」が開発し、55barさんがご自身のXMに試される上でより洗練させた方法です。 【準備物】シリコンホース(3m)、コルゲートチューブ(太め)、ゴム用ボンド、ニップル、タイラップ(細め)、ニッパー、ぼろ布、軍手 2005.5.21 |
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![]() クリックでPDF開く (図は55barさん提供) |
その方法は、従来の方法と、逆転の発想とでも言える方法で目から鱗状態でした。 今までの発想は「パワステラックのシールが弱いか、弱くなってきたためにLHMがもれる。なんとかして、シールだけ交換できないか?あるいはシールをケミカルで強化して漏れを防げないか?」というものだったと思います。しかし、さかなやさん&55barさんの発想は「シールが弱ければ、弱くても漏れない程度のリーク量にできないか?」というものでした。 55barさん曰く「不具合の原因はラムリークのシールが弱ってることにあるわけですが、そこに敢えて、リターン量(圧?)の高いPWSコントロールスライドバルブリターンやハイとコレクタオーバーフローリターン、加えてFRサスオーバーフローリターンが合流していることが問題なんだと思います。結果としてリターン系をリターン量に合わせて分ければ漏れは止まります。(不思議なことにラムリーク自体はほとんどないのです)僕の場合、No.4リターン系からPWSラムリークラインを分離してリザーバーへのラインを1本追加したわけですが1ヵ月1本がその後1年間はフリーです」 |
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さて、ここで55barさんの説明を聞いても、私のような素人には??がたくさんついて、さっぱりわかりません^^;;; ただただ、ふーん・・・と感心するばかりで、普段の私なら「なんでもいいや直りゃー」となってしまうわけです。しかし、私もXM10年近くやってるし、ちと勉強してみるか、ってことでトレマニュやらテクニカルブルテンやらを引っ張り出して、それなりに理解してみることにしました。 まず、パワステラックの外観上の構造が左の写真です。素人はやっぱり外観から入りますからねー。イメージ沸かないとどうも理解できません。スキャナーがなくって写真なのでちょっーとわかりにくいですが、雰囲気わかってもらえるとおもいます。向って右側がフロント左タイヤ側になります。 ここで、55barさんの説明に出てくる「ラム」ってのは何かっていいますと、横に長い棒状の本体の部分を言います(図の一番下のやつ)。正式には「ハイドロリック・コントロール・ラム」というそうなんです(by トレマニュ)。で、図でラムの右の方に出っ張ってる丸いやつ、これを「ステアリングコントロールユニット」といって、ここで油圧を変化させています。 |
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次に「No.4リターン系」って何?ってことを先に理解しましょう。右の写真はLHMリザーバータンクで赤線を引いてるラインが「No4.リターン系」です。 それぞれのラインの意味は、 1.HPポンプ吸入ライン、2.プレッシャーレギュレータ、ハイドラクティブステアリング系リターン、3.ABSハイドロリックブロックリターン、4.オーバーフローリターン、5.ハイトコレクタリターン、6.ステアリングシステムリターン となっており、No4.だけがゴムホースが直接タンクにささっています。 |
![]() 拡大1/拡大2 |
さてここで一番上の写真をクリックして、55barさんが書いてくださった図を見てみましょう。この図を見ながらもういちど55barさんの説明を読むと、大体意味がわかってきます。つまり、「LHMの戻り量が多い回路とPWSラムのリーク回路が一緒につながっていて、PWSラムの中にLHMが多量に入っていってしまうから漏れるんだ」というようなことがなんとなくわかります。だから「ラムリークラインと他からのリターン回路を分離してしまおう。分離した回路はPWSラムリークだけ別にして、リザーバーに戻してやろう、というものです。 ま、素人的に考えると本来繋がっているこんなとこ切っちゃって、本当に大丈夫なのぉ?ってことになるんですが、切るのはリターン回路なので、どこを通っていっても最終的にリザーバーに戻ればいいのかな?と素人的には理解してます。 で、この図をみても、実際に下にもぐってみていったいどこなんだ?っていう感じで、これだけでは作業ができそうにありません。そこでトレマニュをしらべてみると、油圧回路図の物理位置を書いた図がありました。「拡大2」の図で上の赤丸部分が下の写真の赤×部分、下の赤丸部分が、下の写真の赤丸部分です。 |
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ここまで予習して実際に、下にもぐってみて確認してみました。この写真でみえているスフェアは、フロントアディショナルです。位置は前輪車軸より少し後ろあたりの左です。アディショナルの右側に回路を分離するT字型のプラスティック回路があります。この写真は、下にもぐってフロント側を足、リア側を頭にして撮ったものです。 55barさんの図の青×印がこの写真で赤×印です。赤の線はここからリザーバーにつなぐという意味です。赤丸はここを塞ぐという意味です。 実際にもぐってみるとアディショナルのすぐ左に、55barさんの図の5股になっているプラ回路があります。 この写真をあばん・ぎゃるどスクエアに貼り付けて、55barさんに電話して確認してもらいました。55barさんとはホースの色が違っていたそうです。 |
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T字プラ回路の左側ホースは写真では黒っぽく見えますが、実際には透明のホースでした。この写真はT字プラ回路の拡大です。 | |
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さて、いよいよ分離作業になるわけですが、まず二つ上の写真の赤丸部を塞ぎます。方法ですが、このホースが入るくらいの内径のシリコンホースを7〜8cmに切ります。シリコンホースはホームセンターなどに売っています(実は私は55barさんに頂いた^^;;;)。そして、そのホースに内装パーツなんかに使うプラスティックのねじにゴム用ボンドを流し込んで、差し込みます。写真のような感じです(実はホースはもっと長くないとだめ。これは4cmで失敗バージョン)。ねじは根元までねじ込みます。これを「留めA」と呼ぶことにします。 | |
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次にT字回路の左側ホースをこの写真の黒棒のあたりで切断します。切断した途端、切った左のホースからぴゅーーーぅーーーっとLHMが結構勢いよく出てきますので、すかさず上で作った「留めA」を突っ込みます。実は切断前にホースを脱脂しておいたのですが、意味ありませんでした^^; | |
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そして、タイラップで根元を縛ります・・・・ところが・・・ここが素人・・・。最初このホースが5cmくらいで短かすぎたので、この写真からでもおわかりのようにタイラップがもとのホースにかからず、ホースとプラねじの間を縛る形になり、かえってこの「留めA」が外れる方向に力が働きました。この結果この後、この部分をコルゲートチューブで保護するのですが、保護してるときに、ぽろっと外れてしまい、LHMがぴゅーーーーーーー!・・慌てて差し込もうとしてもタイラップによって口が狭まっており、入りません(>_<)。ホースの穴を軍手の指でとめつつ、近くで遊んでいた息子を大声で呼んで、ニッパーをもってこさせタイラップを切り、慌てて蓋をしました。 しっかし、このねじも55barさんに頂いたもので、一個しかありません。しかたなく、漏れ出すの覚悟で、LHMの空きボトルを下に置き、漏れるLHMを回収し、「留めA」をはずし、シリコンホースを今度は長めにして、やりなおしました。ふぅーーー・・・・。焦った・・・。 |
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最後に、コルゲートをかぶせて、終わりです。本当は、切断したホースの右側、T字回路に繋がっている部分からシリコンホースを伸ばし、LHMリザーバータンクまで這わせるのが正解なのですが、55barさん曰く「ラムリーク自体がほとんど無いので、いまだにリザーバーまでLHMが上がってきていません」ということで、解放のままで様子を見ることにしました。 作業後に気づいたのですが、このコルゲートと黒棒をタイラップで縛って固定すべきでした。後日やろうと思います。 |
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さて、懸念点ですが、55barさんによるとこの対策は右から漏れている場合にのみ有効で、多くのXMはそうであり、私のように左右から漏れているのは聞いたことがない。左から漏れているのは本当にパワステラックからなのか?ということを伺って、再度よく見ましたが、どうもよくわかりません。ただ、ラックブーツのラム側(タイヤ側の反対)の根元が切れていて、隙間から中の軸が見える状態です。もしかするとLHM漏れによりブーツが侵食され、切れてしまっているのではないか、というように思います。 私の場合は左が一番漏れていて、次に右なんですが、まぁ、右だけでも漏れないようになったら儲けもの・・・とおもっています。 効果の確認のために地面に新聞紙を敷いて一晩置くことにしました。 最後に、何から何まで大変親切に教えてくださった55barさんに感謝いたします。ありがとうございました。 (後日談 2005.5.22) (後日談 2005.5.24) (後日談 2005.5.26) |
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2005年のシトロエン日記 |