ガイシャの不思議

クラクション編


さて、今日は

クラクションについてお話します。

 クラクションを鳴らすためのボタン、いわゆるホーンボタンですがこれは国産車の場合すべてステアリング、つまりハンドルについていますよね。ですが一部のガイシャ、特にルノーやシトロエンといったフランスの車の多くは

ハンドルにはついていません。これは国産車から乗り換えたときに感じる違和感の代表的なものです。
じゃ、
どこについているのか
Xantiaのホーンボタン (3412 バイト)
 実に不思議なのですが、ハンドルの横から生えているウインカーのスイッチレバーのところについているのです。国産車で言えば、ワイパーレバーの先端に水を出すための押しボタンがついていたりしますが、そのボタンのところがクラクションだと思ってください。変でしょ。
 最初は、クラクションを鳴らす場面でよく失敗して、ハンドルをたたいてしまいました。また、レバーのところを押そうとすると、カキッと当たってウインカーを出してしまったりしました。(^^ゞ

 そうです!つまりやりにくいのです。じゃ、なぜなんだ!こう思いますわね、普通。私は、これはわざとやりにくくしてあるんじゃないかと考えるようになりました。つまり、

クラクションはやたらと鳴らすなと車が言ってるんだと解釈したわけです。
 本当のところはどうだかわかりませんが、ある時テレビを見ていたら、クラクションをどういう場面で鳴らすのかというテーマの番組がやっていました。中嶋 悟がゲストでした。
 普通、すれ違って待ってもらったとき、クラクションを鳴らすんですが、ある例で、自分が待ったときにも鳴らす人が出ていました。それを見て中嶋が、「ヨーロッパ車にはクラクションが鳴らしにくい様に、ハンドルについてないものもある」というようなコメントをしていました。そうか、やはりそうだったのか、と私は一人納得したのでした。それ以来私は、極力手を挙げるか頭を下げるように変えました。

 クラクションはうるさいです。突然鳴らされてびっくりした経験も皆さんあるでしょう。つまり、クラクションというものは緊急時に鳴らすものなんです。本来は。
 私がガイシャが大人だという理由の一つがそこにあるのです。日本でそんな車を作ったらどうなるでしょうか。またたくまに、メーカーにクレームが殺到するはずです。私が感心するのは、そういう風に市場、つまりお客様に安易に迎合することなく、逆に客を啓蒙していこうとするメーカーの姿勢とそれを許し、受け入れる客の大人の態度なのです。社会の成熟度なのです。車は個人の道具であると同時に社会的な道具でもある、というメーカーの認識と客の意識に感じ入るわけです。
 このクラクション一つをとってみても、そこからヨーロッパの暮らし、社会、市民意識などが感じられるわけです。ガイシャの魅力の一つは、そういった異文化を感じることができることです。

 ただ、残念なのはフランスなどの実際の市民・大衆は、結構乱暴な運転をしたり、平気でクラクションを鳴らしていたりするそうです。


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