あばん・ぎゃるど

シトロエンXM MT化レポート from Readers

Updated:2007/10/20


 XMの3大故障は、AT、エアコン、ステアリング・ギアボックス、です。特にATは故障しやすくて有名です。新車購入後から2万キロ毎のATF交換をしていないと、痛い目に遭うといわれています。ATが故障すると、OHで40万、新品交換で80万近くかかってしまうようです。そこまでしてもまた何年かすると故障するかもしれないというリスクがあります。

 そこで、いっそATをやめて、MTに換装してしまおうという方々が出てくるわけです。あばん・ぎゃるどにも何人かの方からお問い合わせを頂いていました。実際にMT化された方もいらっしゃいます。そんな方々にお願いしてレポートを送っていただきました。レポートといいましてもみなさんお忙しいですから、私とのメールでのやりとりを要約してみたものです。ご興味ある方の参考になればと思います。

 KTさんの場合
 XM-X 92年式所有者です。 日ごろ、あばんぎゃるどのホームページを楽しみに拝見しております。私のXMも一通りいろいろな所が故障しましたが、昨年秋(2000年)になってついにオートマチックのトランスミッションの調子が悪くなりました。変速時に滑るといった一般的症状ではなく、勝手にどんどんシフトアップしてしまうという問題でした。手動で下のギアに落とせば走れるので、半年近く我慢して乗っていました。
 今年 4月になってついに修理に踏み込んだのですが、そこで選択した方法は オートマの載せ換えやオーバーホールではなく、マニュアルへの載せ換えです。 以前、ヨーロッパでマニュアルのシトロエンに乗っていたことがあり、日本に輸入されているオートマにはかねがね不満を抱いていたので、故障を好機と捉えマ ニュアル化を図ったわけです。

MTに換装したという話は滅多に聞きませんが・・・。

 私も、XMをマニュアル化した前例は聞いたことがありません。かかりつけのお店でも初めての試みでしたが、シトロエンの他の車種をマニュアル化した経験があり、XMについても技術的には特段の困難が予想されないとのこと。そこで、かなり慎重に検討したあげく、やってもらうことに決めました。
 ちなみに、国内ではマニュアルのXMは平行輸入のターボディーゼル車が数台あるようですが、ガソリン車が果たして他にあったかどうか、聞いたことがありません。

−どちらのショップをご利用になられたのですか?

 作業を依頼したのは、名古屋市内にある新西武自動車のディーラー、(有) どみにこさんです。XMに乗りはじめて以来ずっと整備を任せてきました。

費用はどれくらいかかるものでしょうか?

 費用については、あまりはっきりとしたことは言えません。ひとつには、車検整備その他諸々の作業を同時に依頼たので、トランスミッションの交換のみの費用がはっきりと出ていません。また、使った部品点数が相当数にのぼり、かつそのほとんどがディーラーでも初めて取り寄せた部品なので、同じことをまたやったとして今回程度の費用できるかどうかわからないという問題もあります。 ただ、目安としてはオートマチックの載せ換えをおこなった場合と比べて、20〜30万円くらいは余計にかかるといったところでしょうか。あいまいですみ ません。

−どれくらいの期間かかるものでしょうか?

 私の車の場合、XMは初めての試みということで、作業には結局 1ヶ月強を要しました。ただし、これだけ時間がかかったのは、作業を始めたのちに部品の不足が判明し、その分をフランスから取り寄せたことが主な原因です。必要な部品が事前に完璧に揃っていれば、諸々の調整を含めた実質作業日程は2週間程度でしょうか。

−マニュアルにしてどんなメリットがありましたか?

 マニュアル化の効果としては、大きく分けて次のようなものがあるかと思い ます。

(1)まず、単純に走りがぐんと良くなりました。ATのときの 2〜3割はパワーアップした印象です。高速道路ですと登坂車線のある急坂の区間でも 5速のままぐいぐい加速します。アクセルも半分くらい踏めば十分です。ATのときは、加速時には3速に落とし、それでもちょっと苦しいくらいだったので、助かっています。また、山道の登りもたいへん軽快になりました。
 市内走行では私はあまり急加速しませんので、違いはさほど大きくないかもしれませんが、フロントの車重が軽くなった分だけ、ステアリングやブレーキへの負担が減 り、動きが軽快になった感じです。ちなみに、XMはトルクの厚みが比較的あるので、MTですと低回転域でも比較的楽に加速し、むやみにギアチェンジする必要がありません。

(2)燃費は、少なくとも 1割は向上しました。ふだんの通勤等での平均燃費 は、ATのときはせいぜい6km/リットル程度でしたが、MTにしてからは7kmくらいまでは伸びています。

(3) これまで故障や消耗の原因になっていたと思われるものが軽減されたと思います。まず、オートマチックのトランスミッションがもうないので、当たり前ですが故障の心配がありません。MTですと故障してもクラッチ板だけですからね。また、フロントの車重が少し軽くなったので、ステアリング機構への負担が減り、車庫入れなどのときのセルフセンタリングの動きも格段に良くなりました。エンジンマウントの消耗も緩和されると思います。

(4) 走りとも関係することですが、XMのエンジンブレーキはMTですときわめて良く効きます。たとえば、自走式の立体型車庫の下りのような急坂でも 1速でブレーキなしで問題なく走れます。ただし、このへんのことはエンジン・コン ピュータのプログラムにも若干関係しているかもしれません。私の場合、マニュアル化したのちもプログラムはもとのままです。いずれにせよ、ブレーキの磨耗が抑えられるのは嬉しいことです。

(5) トランスミッションの周りがすっきりしてスペースが少し空いたので、ブ レーキ・アキュームレータ等、ATでは交換に手間がかかった部品へのアクセスがきわめて楽になりました(といっても整備は全部お店任せですが)。

 ざっと思いつくのはこんなところです。よく考えると他にもあると思います。
 ちなみに、(有)どみにこさんでは、私の車のマニュアル化が成功したのを受けて、続いてもう 2台のXM のマニュアル化を実行されたとのことです。1台はすでに売 れ、もう 1台は現在製作中にようです。

2002.1.14

 ちなみに、どみにこさんで私の車の後にMT化した残りの2台のXMにも試乗しました。2台目は、カミヤマさんという方が購入された後期型Xmですが、私の車とは クラッチに大きな違いがあります。前期型がワイヤー式なのにたいして、後期型 は油圧式です。ワイヤー式は重く、ダイレクトな感じ、油圧式は非常に軽く、ソ フトに繋がります。どちらが良いか好みが分かれるところかもしれません。今売 りに出ている3台目は、私の車とまったくと言っていいほど同じです。トランスミッションのみならず、車の色まで同じですからね。
 私は個人的には重く、ダイ レクトなワイヤー式の方が好きですし、部品代もその方が安く済みます。ただ、今後新たに発表されるシトロエンのマニュアル車にワイヤー式が採用される可能性は小さいでしょうね。この前、海外出張のさいにC5 HDi のマニュアルに乗りましたが、クラッチはやはり油圧式でした。

2002.2.5

 カミヤマさんの場合
どみにこさんで、2台目MT化Xmを購入されたカミヤマさんから、Xmの内装写真をご提供いただきました。

 

 

 

2002.1.31

 MT換装実績をお持ちの、とあるショップさんのお話し
 今回は、XMをMT化したことのあるショップさんに大変無理を言ってお話を伺うことができましたので、ご紹介いたします。シトロエンに情熱を傾けていらっしゃって少しでも多くの人にその良さと可能性を伝えたいとお考えのそのショップに感謝と敬意を表します。
−MT化をビジネスとして考えられたきっかけはどういうことだったのでしょうか?

 そもそも僕自身が、ほとんどの車種にATしか設定のない日本仕様に普段から不満を持っていたのが始まりでしょうか。で、たまたまあるお客さんも同じ考えを持っていて、そこにその方が所有するXMのAT不調が重なり、どうせ修理するのならば、その費用+αでトランスミッション の換装をしてみてはどうでしょうか?言う提案をしました。
 ですから、僕自身はビジネスというよりも、単純にATに不満を持ってる人の力に少しでもな れればというか、MTのXMをもっと知ってもらいたいというような気持ちです。

−MT化に必要な部品点数や費用は、だいたいどれくらいかかるものでしょうか?

 費用に関しては、ケースバイケースになりますので断言できません。それは、作業に伴いエンジンを降ろしますので、そのときの車両状態によりACホースや、LHM のリターンホースなどを交換するケースが出てくるからです。ですが、それではなんの目安も立たないと思いますので、純粋にMT換装に必要な部品点数と部品金額は、1994年モデル(前期型)で約30点で約75万円、1995年モデル(後期型)ですと約30点、約100万円といったところです。部品代だけでも高額になりますので、部品代は多少の値引きをする場合もあります。
 最近は、全国からMT化の問い合わせを頻繁に頂いていますので、それなりのニーズはある(だから並行車の輸入が絶えない)とは思いますが、費用が嵩みますのでそこまで踏み切れる人は少ないようです。

−MT化作業でご苦労された点はどんなところでしょう?

 すべてシトロエン純正部品を使用していますので、換装についての苦労は特にありません。準備した部品をプラモデルを作るように組み上げていくだけです。しいて言えば、一番初めの準備段階ではV6+MTというのはまったくの未知の世界でしたので、何がMT専用のパーツで、何がATと互換性があるのかがはっきりつかめ ず、部品をどれだけ用意したらよいのか迷ったぐらいです。今は、手元に必要な部品のリストがあるので、その心配も無くなりました。

2002.2.7


このショップ関係者のご厚意で大変貴重な資料を公開していただけることになりました。パーツリストや作業の様子がアップされているページへのリンクです。大変ご苦労されて得たノウハウが詰まっていますが、他のショップの方が「このページを見て、MTへの換装をされたとしても、ATがすべって
XMが捨てられてしまうよりMTに生まれ変わって復活してくれた方がうれしい」という器の広い志により、公開頂きました。あらためて感謝と敬意を表します。
<ご注意!>
れからご紹介するページへの無断リンクは厳禁されています。今回は「あばん・ぎゃるど」が特別な許可を得て、そのページへのリンクを張ることができました。また、そのページをご覧になって、MTへの換装を実行する方はあくまでも自己責任で行ってください。ページ提供者および「あばん・ぎゃるど」は一切の責任を持つことはできません。これらに同意をすることができる方のみ、リンク先をご覧になって下さい。もったいつけてすみません(^_^;)。お待たせしました。こちらです。(お詫び:2003.4.12現在このページはなくなっています)

2002.2.14

別のショップでMT化されたクーポンポンさんのページはこちら


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