あばん・ぎゃるど

シトロエンXMバイヤーズ・ガイド

Updated:2004/07/26


 XM購入時にチェックすべき項目をあげました。これがすべてではないと思いますが、私が経験したり、聞いたりしたものです。一般的な中古車購入時の注意点は書いてありません。XM特有もしくは、ハイドロ特有なものだけを書きました。
 ハイドラクティブ関係
1. エンジンを掛け、車高がスムースに上がるか?  
 正常ならエンジンをかけてから、30秒以内にはノーマルポジションになるはずです。Xantiaはもう少し遅いです。また、上がり始めてからリアは5秒くらいでノーマルになります。すーっと上がるはずです。Xantiaはもっと遅いです。HPポンプの容量がXMの方が大きいからだそうです。
2. 車高が上がるとき、ジジジジーーー・・・と間隔の短い音がしていないか?  
 車高が上がるとき、フロント下あたりから、ジーカチ、ジーカチといったHPポンプの動作音がするのですが、メインアキュムレーター(通称メイン玉)がへたってくると、ジーカチ音が短くなりジージジジジジ・・・と聞こえます。普通なら、カチ・・・カチ・・・と音がします。この音はXantiaでは小さいので聞き取りにくいのですが、XMなら車内にいてもはっきり聞こえるはずです。これはメイン玉を交換すれば済む話です。交換はディーラーなら玉代込みで1.5万〜1.8万くらいです。XMのメイン玉交換は自分でやるのは難しいです。
3. 車高調整レバーを最大にしたり、最高にしたりして、スムースに上下するか? 右のレバーが車高調整レバー (6092 バイト)
 何回も上下させましょう。また、ハイ(最高)にしたときクルマの下をのぞいて、緑のLHMが落ちていないか、地面にシミができていないか、よく確認しましょう。またエンジンオイルやATFが落ちている場合もよくあります。それは地面のシミとなって現れます。シミはフロント側地面にあることが多いと思います。
 なお、車高調整レバーはつまんで一度上に上げてからスライドさせます。
4. ステアリングをすえ切りしてみて、スムースに動くか、手を放すとセンターに戻るか?  
 すえ切りはクルマに良くないので、お店の人に断ってから、何度も左右に動かして、左右とも同じようにスムースに動くか、確認しましょう。あるいは、ちょっとだけ車を動かしながらステアリングをきりましょう。HPのアンケートをお寄せいただいた方から「この確認をしたら、LHMがポタポタとしたたり落ちてきた。確認して良かった。」との情報を頂いております。
 また、左ハンドル車ならセルフセンタリングがついているので、手を放すとススッとセンターに戻ります。
 こうやって、ステアリングを動かしてから、またクルマの下をのぞいて、
LHM漏れがないか確認してください。ステアリングギアボックスからのLHM漏れが結構あるようです。わたしのXMもそうでしたが、納車前に発見されてセーフでした。ステアリングギアボックスの修理には、30万円以上かかります。
5. 車高をノーマルにして、リアを押さえてフワフワか?  
 アイドリングの状態(エンジンをかけてからまだクルマを一度も動かしてないとき)で、リアバンパーを手で押さえてみてフワンフワンといった感じで5cmくらいストロークするのを確認してください。1cmもストロークしないようなガチガチなら、アディショナル・スフェアの寿命が来ているか、常時サスロックの恐れがあります。
 サスロックとはハイドラクティブがSPORTモードになったままでNORMAL(ソフト)モードにならないことをいいます。つまり、アディショナル・スフェアが切り離されたままの状態で、大変乗り心地が悪くなるものです。ピョンピョン、ガタガタに跳ねます。
常時サスロックは高くつきます。ECUが原因なら10万円以上かかります。
 スフェアが寿命ならしかたありません。スフェアはケチらずに購入時に全て換えておきましょう。10万円くらいかかりますが、乗り心地はXMのとても重要な要素です。とくに、足玉(サスペンションスフェア)とアディショナル・スフェアは換えた方がいいでしょう。
6. アイドリング中に軽くかつすばやくアクセルを吹かすとプシュッという音が聞こえるか?  
 エンジンをかけて車高が上がったら、アクセルを素早く1500回転くらいでいいので吹かせてみてください。あまり高いとエンジン音で聞こえなくなります。するとプシュッという音が足元からします。アディショナルスフェアを切り離すエレクトロバルブの音です。この音が聞こえないと常時サスロックしている可能性があります。その場合、ハイドラクティブECUが故障しているでしょう。
7. エンジンを止めてから約30秒後にプシュッという音が聞こえるか?  
 ハイドラクティブECUが正常なら、エンジンを止めてからドアを開けて外に出て、またドアを閉めてください。全てのドア、テールゲートも閉まっている状態にしてください。
 その状態になってから約30秒すると、プシュッという音がします。アディショナルスフェアを切り離すエレクトロバルブの音です。この音が聞こえたと同時に5.の通り、リアを押さえてみてください。今度はガチガチになっているはずです。
 もし、この音が聞こえないなら、常時サスロックしてることはほぼ間違いないでしょう。ハイドラクティブECUの故障です。
8. F34フューズを抜き差しして、カチカチというリレー音が聞こえるか?  
 5も6も7も満たさないとき、常時サスロックの恐れがあります。つまりハイドラクティブECUの故障です。CML松下さんの情報によれば、正常であれば次のようになるそうです
 イグニッションオフにして、ドア全てとリアハッチを閉めて、1分ほど経過してから、次のように、ステアリング下にあるフューズボックスのF34フューズを抜いてみましょう。(お店の人に断ってね)

1)ドアを開ける→30秒後にエレクトロバルブの動作音(プシュ)→F34を外す→音がしない→F34さす→音がする(カチ)

2)ドアを開ける→30秒以内にF34を外す→音がする(プシュ)→F34さす→音がする(カチ)

注)30秒というのは個体差があかも知れませんので、30〜40秒と考えてください。

 この後は、F34をつかず離れずで接触させるとカチカチ音がするはずです。カチカチ音またはカチ音は右フロントライトの裏あたりにある緑のリレーの音です。この音がしないなら、まず常時サスロック状態になっていると考えていいでしょう。ただし、この音がしたとしても、サスロックしてないとは言えません。
 なお、車載のAMラジオでリアルタイムにサスペンション状態を判定する方法もあります。
9. トリップコンピュータが動作しているか? columr.jpg (3244 バイト)

 これもお約束の一つです。ステアリングの左右に液晶ディスプレーがあります。右側の方に時計があり、エンジンがかかっていれば、その横に外気温が表示されているはずです。
ステアリングコラムの右レバー(ワイパーレバー)の先端にあるボタンを押すと、トリップコンピュータに切り替わります。20km/h以下ではそこが「−−−」と表示されますが、20km/h以上のスピードで走っているときには、ここに瞬間燃費が表示されます。20km/h以上で走行しているにもかかわらず、「−−−」のままなら、トリップコンピュータに信号を送っているスピードインターフェースユニットが壊れているおそれがあります。タチの悪いことにこれが壊れていると、サスロックを起こすのです。必ず確認してください。
 修理は、スピードインターフェースの再半田か、交換(部品代、1万数千円)になります。修理方法は、こちらこちら

 なお、「−−−」の現象だけで、スピードインターフェースユニットが壊れていると断定はできません。スピードセンサーが油や埃で固まっていて回転しないために、トリップコンピュータが速度ゼロと判断して、「−−−」と表示していたという例が過去に報告されています。また、スピードインターフェースユニットは正常なのに、トリップコンピュータが壊れていたために「−−−」になったという例もあります。どちらもレアケースと思われますが、そのようなこともあるということです。
10.アース線が切れてないか? アース線が切れているとサスロックしやすい (5828 バイト)
 ボンネットを開けると、左右のダンパー(ボンネットを支える支柱)の根元付近に写真のような銅色の平たいアース線があるはずです。
 ここが切れていると、サスロックを起こしやすいようです(噂。少なくともラジオにノイズが入りやすいそうです)。左右両方とも、切れていないか確認しましょう。もし切れていたら交換すればいい話です。
11.ハイドラクティブECUのバージョンはH3か?  
 ECUにはバージョンがあります。H3だからといってトラブルを起こさないとは限らないのですが、H1,H2に比べるとましだという話です。ついでにエンジンECUのバージョンも確認しておきましょう。それらの確認方法はこちら
 装備関係
1. 全ての窓がスムースに動作するか?  
 XMの窓落ちはお約束です。窓落ちとは、窓の開閉をしていると途中で窓が下に落っこちて上がらなくなってしまうというものです。特に、リアは必ずといっていいほどいつかは窓落ちするようです。
 XMの窓はもともと普通のクルマのようにスーっとあがりません。遅いです。でもこれは正常です。そういうもんです。ですが、何か途中で引っかかるような感じで上がっていくと危ないです。
 また、運転席側のパワーウインドースイッチのオートスイッチ(1回押すとあがりきったり下がりきったりするあれ)が効かなくなっているものがあります。チェックしてください。
2. シフトインジケータがきちんと表示されているか? 98012602.jpg (4528 バイト)
 水温計の下にATシフトインジケータがあります(→赤丸)。ここのバックライトが切れていて、インジケータの存在そのものが見えない場合があります。たかがライト切れといっても自分で直すのは結構やっかいです。
 また、インジケータが文字化けを起こしている場合もよくあります。この修理も結構やっかいなので、確認しておきたいですね。
3. リモコンドアロックが動作するか? 980300.jpg (4276 バイト)
 これもお約束です。リモコンキーを押してもドアロックの開閉ができないことはありませんか?ただし、リモコンキーの先をルームミラー近くの受光部にきちんと向けてくださいね。この角度は結構シビアな場合があります。リモコンキーのスイッチを押して、赤のLEDがピカっと光ればOKです。これがテカテカテカーと2〜3秒光るようだと壊れてます。
 修理方法は、こちらこちら。それでもだめな場合は、部品交換です。
4. オーディオが鳴るか?  
 オーディオを操作してラジオやテープがきちんと鳴るか試しましょう。オーディオが鳴っても数分すると突然消えるというトラブルもありますので、しばらく鳴らしておきましょう。
 また、Aピラーの根元にあるツイーターからきちんと音が出ていますか?外からは見えませんが、ツイーターが中で割れていたり、崩壊していることがあります。
5. オーディオ、エンジン始動のパスワードがあるか?
 オーディオにはパスワードがあります。これをきちんと教えてもらっておきましょう。これがわからないと、ダボボンさんや私のような目に会います。
 ついでに、エンジン始動のパスワードも確認しておきましょう。普通はニュートラルモードになっていますが、セキュリティをかけるとパスワードがないとエンジンが始動しません。写真はエンジン始動パスワード用テンキー。
6. 各種バックライトつくか?  
 バックライトがよく切れています。まず、メーターナセル内のヘッドライト関係のランプです。XMに限らず、シトロエンはスモール、ロービーム、ハイビーム、それぞれの位置で対応するメーター内のランプがつきます。これが切れてませんか?
 オーディオカバーオープナーと灰皿オープナーのランプもよくどちらかが切れてます。さらに、パワーウインドースイッチの照明やステアリング下のヘッドライトスイッチの照明もよく切れてます。
7. 各種インテリアランプがつくか?  
 リアの読書灯、トランクルームランプ、助手席グローブボックス、エンジンルームランプ(ボンネットの裏にある)などが切れてませんか?
8. 助手席グローブボックスのダンパーが寿命じゃないか?
 グローブボックスは開けるとダンパーによって、スーっと開くのですが、ここのダンパーがへたっていて、手で持ち上げないと、グローブボックスが開けられないものが結構あります。
 ダンパー換えると1万円くらいかかります。自分で直すこともできますが、納車前なら直してもらいましょう。ただし、あまり気にするほどのトラブルではないでしょう。ダンパーが効かなくてもそれほど不便しません。
 空調関係
1. 空調ダイアルがまわるか?
 空調ダイアルを全て操作して、正しく動作することを確認しましょう。このダイアル軸がプラスチックで良く割れます。私のは、割れてましたが、セロテープで巻いてありました ^^;
 割れていると、ダイアルが空回りします。部品代は、3つセットで9000円弱します。また、割れていなくても端から端(ロックトゥーロック)まで回らない場合があります。
 また内外気循環切り替えレバーも動かしましょう。このつまみは中で折れやすいです。ちょっとひっぱて見て、取れるようなら折れています。CMLの篠原さんのも折れてました。
2. エアコン効くか? aircon.jpg (3025 バイト)
 ま、これは夏以外は判断が難しいんですな。まず、エアコンのスイッチを入れて、コンプレッサーが回っているかどうかでしょう。エアコンのスイッチは、普通のクルマと逆で押すとOFFです。このとき、スイッチのオレンジのLEDがつきます。これがついてると、エアコンがOFFですからね。ONじゃないんです。
 コンプレッサーが回ってるかどうかは、エンジンルーム内のリキッドタンクのサイトグラスを見ればわかります。バッテリーの近くに黒い円筒状のものが見えますが、これがリキタンです。
 ここに丸い小さなガラスが2つあって、左の方の穴からガスの様子が見えます。ここが真っ暗で何も見えなければ、コンプレッサー回ってません。回ってるなら、ここに気泡が流れるのが見えます。ガスが足らなくて、冷えないこともあります。それは気泡の大きさが大きいときです。これは、実際に見ないと難しいですが、現在のご自分の車にもこのサイトグラスがあるはずですので、それを見ておいてください。
3. コンプレッサーいかれかけてないか?  
 CMLで渋谷さんから教えていただいたことです。まず、ボンネットをあけてください。向かって左奥にコンプレッサーがあります。ボンネットの裏のコンプレッサーがあったろうあたりに縦に白いオイルの筋は見えますか。これがあると、近々コンプレッサーがいってしまうそうです。まだ、いっていなければ、リキッドタンク交換と真空引き、コンプレッサーオイル補充で済むそうです。
 もっとも既にコンプレッサーが交換されていて、交換前のものによってついた可能性もあります。
 その他
1. パワーステアリングが高速できちんと重くなるか? stear.jpg (9501 バイト)
 ドリブンギアソケット・ギアが摩耗してくると、パワステがいつも最大アシスト量になります。高速でもかなり軽いのでなれないとちょっと恐いかもしれません。左ハンドルXMは低速ではステアリングがものすごく軽いです。ですが、30km/hくらいからしっかりと重くなってきます。ですが、これも致命的なトラブルではないでしょう。高速走行でもそれほど恐怖感を私は感じませんでした。92XM時代がそうでした。93XM-Xに乗り換えて、きちんと重くなるので、高速ではピターッとステアリングがまっすぐになってとても気持ちがいいのは間違ありません。
2. 「STOP LAMP TEST」 消えるか?
 エンジンを始動すると、左の液晶ディスプレーに「APPLY BRAKE TO TEST」続いて、「STOP LAMP TEST」と表示されます。これは、「ブレーキランプのテストをするので、ブレーキを踏め」と言う意味です。これは、ブレーキを踏むまで繰り返し表示されつづけます。ブレーキを踏むとランプ切れかどうか車が判断してくれます。
 で、これが曲者で、ブレーキを踏んでいるのに、消えないことがあります。いくつか原因があるようですが、私が遭遇したのはブレーキペダルのスイッチ不良でした。詳しくは、ここそこあそこあっちにもこっちにも。
3. ウインカーを出すとピッと電子音がしないか?  
 ウインカーを出すと「ピッ!」と音がして、左の液晶ディスプレーに「DEFECTIVE L(R). STOP LAMP」といった警告表示が出たりするものがあります。額面通りに受け取れば、「ブレーキランプが切れてるぞ」ということなのですが、たいていの場合は、リアランプユニットの接触不良でこうなります。もう、ウインカー出すたびに毎回出るときもありますので、直してもらいましょう。詳しくは、こちらこちら
 なお、この現象は「DEFECTIVE L(R). TAIL LAMP」など、別の警告のときもあります。
4. スピードメーターがぶれないか?  
 走行中にスピードメーターがぶるぶると震えて、落ち着かないというトラブルがよくあります。気にしなければいいのですが、かなり震える個体もあるようです。直し方は、CMLでいろいろ報告されていますが、確か藤原さんが開発し、篠原さん他複数の方が成功している次の方法が正解のようです。その方法とは、エンジンルーム内のスピードメータケーブルが突き刺さっている壁とケーブルが垂直になるように、針金などでケーブルを固定する、というものです。
5. リコール対策はされているか?  
 いくつかのリコールが出ています。対策済みなら、リアウインドーにシールが貼られています。詳しくは、こちら
6. ATクーラーホースは対策品か? atfc1.jpg (3681 バイト)
 ATクーラーホースからATFが漏れ、最悪、走行中に吹き出して止まるというトラブルが結構あるそうです。これは対策品が出ています。私のは対策されてません。交換すると工賃込みで10万円超にはなるでしょう。できれば対策品が付いているものを選びたいですね。
 ATFクーラーホースは、ボンネットを開けて写真の赤丸あたりの下の方にあります。クリックすると拡大されます。拡大写真は、対策前のものです。
 対策前のものはゴム製ですが、対策後のものはこのようにステンレスメッシュです。 対策品のATFクーラーホース (3651 バイト)

 ここに挙げた条件を全て満たしている個体はおそらく無いと思いますが、できるだけたくさんの個体を見て、そしてできれば試乗してみて、現車を必ず確認してください。外観の綺麗さに惑わされると必ず高くつきます。
 またオフ会などに出てみて、オーナーの方の生の声とか、助手席でいいので同乗させてもらうなどいいと思います。そのためには普段から各種HPの掲示板などに顔を出して、発言して、質問して、オーナーのみなさんとつながりを持っておくといいとおもいます。
 またこの他にも、ドライブシャフトブーツ、ロアアームブッシュ、ボールジョイントなど足回りを確認するといいのですが、ジャッキで上げないと簡単に確認できません。ですから、これだけ満たしていてもまだ大丈夫とはいえません。やはり10年近く経過した車ですから電気系、ゴム系などは劣化しているわけです。



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